金沢本部 田中の教育ブログ「続・英検について」
金沢本部校
第二回目の内容は前回に続き「英検」についてです。
福井県の公立入試における英検の加点について前回まとめましたが、一部おさらいします。英検準2級以上を取得していた受験生は計923名、一方加点で100点(※注)に達した生徒は18名でした。また、最上位高校の受験者のうち、8割近くが英検準2級以上を中学時に取得していました。これらは非常に大切なことを示唆していると思います。
まず、英検準2級(準2級で目安は高校中級レベル)以上を取得していることと、中学レベルのテスト・入試をほぼ完璧に解く実力があることは必ずしもイコールではないということです。現場で英語を教えている先生方は、みなさん分かっていらっしゃることですね。そして同時に、英検の上の級に意欲的に挑戦していく生徒の成長には目を見張るものがあることも。
将棋の羽生善治竜王が小学生の時、最初に入った道場は7級からスタートする決まりでしたが、道場の席主が昇級の楽しみを覚えてもらうため、あえて14級からスタートさせた、というエピソードがあります。英検においても、級で示されるため、上の級に挑戦していく楽しみがありますね。自分の学年目安より先の英検の級を取得できると、子供たちにとって大きな自信になりますし、より英語が好きになるでしょう。
しかし、ここには大きな落とし穴も潜んでいます。英検の取得が自信ではなく「過信」になってしまうことです。
早くから英検3~4級以上を取得している、という中学生・小学生のお子さんがいらっしゃる方は、試しに下の簡単な問題をお子さんに解かせてみてください。
Q:( )に入る語句として、適するものを下の1~4から選んで答えましょう。
What time ( )your school start every day?
1 are 2 is 3 do 4 does
すぐに4と答えられたなら大丈夫です。3も間違いの中では良い方ですね。良くない答えは1と2です。1と2を選んだお子さんはDo you~?とAre you~?の区別があいまいな可能性があります。そうなると中1の2学期以降、定期テストで思ったように点数が取れなくなる(なった)はずです。
小・中学生対象、教科の好き嫌いランキング(2015ベネッセ教育総研調べ)の話に移りましょう。小学5年生対象の調査では、家庭・図工・体育についで好きな教科第4位に入った外国語(英語)活動ですが、中学2年生対象の調査では、なんと英語が最下位となります。実技・総合も含んだ10教科(活動)での回答です。「可愛さ余って憎さ百倍」ではないのですが、好きだった教科だけに、点数が取れなくなり始めると途端に「大嫌い」に豹変する危険性を秘めている訳ですね。
教育はある意味、自信をつけさせることと、過信を戒めることの繰り返しともいえます。「自分はもう英検○○級をとっている」という自信と、目の前の定期テストの点数との乖離に苦しんでいる方は、ぜひ英検対策も定期テスト対策も可能な育英センターまでご相談ください。
※注 なお、福井県は受験する高校のレベルで問題を選択する形式です。上位校向けの英語Bの平均点は57.8点でした。