「戦略」と「戦術」について
小松校
日本時間2/10(月)には全米のアメリカンフットボールのプロリーグの決勝戦であるスーパーボウルが行われました。アメフトは「戦略」と「戦術」のちがいを意識して行動するスポーツだと言われます。かくいう私もアメリカンフットボールをプレーしていた経験から「戦略」と「戦術」のちがいを区別して考える癖がついてしまいました。別にアメフトに限らずどのスポーツでも勝利するためには、頭ごなしに肉体(physical)だけで頑張るのではなくこの2つについて考えることが重要であることについては異論がないと思います。
どちらも日本語では同じように聞こえるかもしれませんが、「戦略」(strategy)は勝利のための大きな方向性を決めることです。どのようにすれば勝利できるか、オフェンスやディフェンスのどこに力を入れるのがよいのか、自分自身の長所を見つけてそこを伸ばし、欠点をいかに最小化するか。一方、「戦術」(tactics)は実際のプレーにおける具体的な作戦です。先に描いた戦略を達成するためにどの手段を使うか。じゃんけんでグーを出すか、チョキを出すか、パーを出すか,といった例のように,数ある選択肢から戦略を達成する可能性の最も高いものをその都度選びます。
「戦略」を立てる段階で自己分析を怠り、方向性を誤ってしまっては勝てるはずのない無謀な戦いに時間を浪費してしまいます。一方、「戦術」がなければ「戦略」を決めたところでそこに渡るためのステップがない状態なため、目標はいつまでも達成できない絵に描いた餅となることでしょう。
アメリカでは子どものころからフットボールを通じてこのちがいの重要性について徹底的に叩き込まれるそうです。ハドル(huddle)という作戦会議(huddleは「集まる」という意味の動詞です)をし、勝利のためにどのプランを用いるかをみんなで議論します。プロのフットボール選手たちは肉体を鍛えるだけでなく,プランが無数にのっている辞書のように分厚い戦術指示書を暗記していつでもそのプレーができるように準備しなければなりません。やみくもに頑張る(hard working)だけでは勝利はつかめないのです。
もちろん理想通りにいくことはまずありません。「戦略」と「戦術」は試行錯誤(trial and error)によって少しずつ修正されていくものです。ただ一人で気づくことは難しいため、「戦略」か「戦術」のどこに穴があったのか話し合う必要があります。これはスポーツだけでなく、勉強についても、もっと言えば人生全般に対しても当てはまることではないでしょうか。
自分はどの分野の研究が向いているか、どの大学が将来過ごすうえで合っているか、志望校到達までにどの科目に力を入れて勉強しなければいけないか、といった大きな目標を決めるのが「戦略」です。では具体的に科目ごとにどのレベルの問題まで解けないといけないか、まだ理解できていないところはあと何回反復して身につけなければいけないか、といった小さな目標を決めるのが「戦術」です。一緒に「戦略」と「戦術」を立てる手助けをしてくれる人がいるというのは幸せなことです。
育英センターでは生徒ひとりひとりと「戦略」と「戦術」について話し合っておりますが、このアドバイスは塾だけの専売特許ではありません。スポーツにもコーチがいるように、学生のみなさん一人一人が、この先行きが見通せない時代に進むべき方向を指南してくれる良き指導者と巡り合えることを願ってやみません。もちろん最終的に決断するのは自分自身です。全米最大の祭典であるスーパーボウルを観戦するたびに「戦略」と「戦術」のちがいについてふと考えてしまうのでした。
小松校 校舎ブログブログ新着
-
小松校
9歳の夏休み
-
小松校
本日のsnow clearing
-
小松校
「戦略」と「戦術」について