国語お悩み相談コーナー③主観と事実の切り分け
金沢本部校
「主観」と「事実」の切り分け
こんにちは。国語担当の吉田です。
生徒の作文を添削していて、非常によくみられるのが、「主観」と「事実」の区別ができていないなー、というものです。
そもそも、主観と事実とは何が違うのか。
主観とは、実際の事実とは別に、自分が「こうだ」と思うこと、考えたこと、感じたこと。事実とは、主観とは関係なしに、そうだと判断できることです。
たとえばデータや数字の大小や変化。また、広く一般に定義づけられていること。具体的には、「2よりも7のほうが大きい」「1日は24時間である」「人間は生き物である」など。
(何が主観で何が事実であるのかは、突き詰めるとものすごく深遠な哲学的な議論になってしまうのですが、さしあたっては上記のように考えておけばよいのではないかと思います。)
本題に戻ります。作文で生徒がやりがちなのが、この「事実」に対して、「私は、~と思う」という意見を述べる際の表現を使ってしまうことです。グラフから読み取れることを述べる際に、「私は~と思う」と書いてしまったり、また「第1段落では気づいたこと、第2段落では意見を書きなさい」という問題の条件にこたえられなかったり。このような条件がある場合は、気づいたこと(=事実)と自分が考えた意見=(主観)の区別ができているかどうかが試されていると思ってください。
たかが表現の問題じゃない、言葉尻をつっつくようなことだ、と思う人もいるかもしれません。しかし、表現には意識や思考が表れます。表現上、区別ができていないということは、そもそもの認識として区別できていない場合が多いです。かくいう私も、恥ずかしながらつい最近まで「をかし」と「あはれ」の区別をきちんとできていませんでした。しかし、それを自覚した今では、これらをしっかり使い分けよう、と思っています。言葉の選び方には、物事の認識が表れるのです。「分かる」とは「分ける」ことなのです。こうした小さなことをきちんと区別し理解することの積み重ねが、「国語力」を作っていきます。
作文程度では、採点が甘ければ減点を食らうことはないかもしれません。しかし、この「主観と事実の区別」が、現代文では非常に重要です。国語教育では、中学から高校まで、この力を鍛えることが一貫して目指され教えられています。そして大学入試でも、まさにこの点が問われます。そして、多くの受験生が、中学段階から教えられてきた「主観と事実の切り分け」で未だにつまずいてしまっています。共通テストで出題される「適切な選択肢を選べ」「誤っている選択肢を選べ」といった問題で、「本文から読み取れないこと/読み取れること」を区別し判断するのに求められている能力が、まさにこの「主観と事実の切り分け」なのです。
この「主観と事実の切り分け」の仕方、問題の具体的な解き方については、授業で教えておりますので、詳しく知りたい!という人は、ぜひ国語を受講してください♪以上、お読みいただきありがとうございました。もっと国語について知りたい!という方は、ぜひ下のリンクへ。
↓前回の国語お悩み相談コーナー②「国語に答えはない?」はこちら
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