受験の現実①~国公立と私立の入試方式~
小松校
今回から指導経験から見てきた「受験の現実」を様々なテーマを切り口に論じてみたいと思います。
進路や受験について真剣に考えている生徒の方、また受験を終えて久しい保護者の世代の方にも、現在の受験のことについて基礎知識をお伝えすることも目的としております。
何事にも例外というものは存在しますので、あくまでもこういった傾向があるのではないかと考える個人の主観的な感想として、参考材料程度にお考えいただければ幸いです。
また不定期の連載となりますことをご容赦ください。
さて「受験の現実」とは主に「大学受験」を見据えた話となりますが、今回のテーマは「国公立大学」と「私立大学」の入試のちがいについてです。
毎年1月になると共通テストが実施されたことがニュースでも話題になりますが、共通テストは旧共通一次・センター試験の流れを汲むもので、“国公立大学の一次試験”です。この一次試験に加えて国公立大学が2月に大学ごとに課す二次試験を受験し、その合計点で合否が決まります。東大などは基本的に倍率が3.0倍を超える年度は倍率調整のため、一次試験である共通テストの点数が一定のラインに届かない受験生は「足切り」といって二次試験を受験することができず、門前払いにされてしまいます。共通テストは現在、国語・英語・数学・理科・社会・情報の6教科8科目(1000点満点)を受験しなければいけない国立大学がほとんどです(公立大学は科目数が少ない大学も多くあります)。二次試験は前期・中期・後期と3回の受験資格がありますが、いずれも共通テストの結果を使って1校ずつしか出願できず、さらに中期・後期は実施する大学が減少傾向にあるため(金沢大学も令和3年度から後期入試を廃止しました)、一発勝負の共通テストの結果を受けて前期の入試にどの大学を受験するかが国公立大学の進学先に大きく関係します(今年度の共通テストの講評については以前の記事をご覧ください)。
一方、私立大学は例年1月以降、大学ごとに課す「一般入試」を受験します。「一般入試」は文系であれば英語・国語・社会(または数学)、理系であれば英語・数学・理科の3科目であることが一般的です(これは国公立大学の「二次試験」の科目とほぼ同様です)。基本的に私立大学には共通テストの結果は関係ないことがほとんどですが、多くの私立大学は「共通テスト利用方式」の入試を採用しており、国公立大学受験生が共通テストに向けて6教科8科目を勉強してきたことを評価し、共通テストの結果を使って単独または一般入試と併用で合格を出してくれる私立大学もあります。早稲田大学・上智大学などは学部によっては共通テストの点数提出が必須の場合もありますし、慶應義塾大学では共通テスト利用入試が一切できないため、本当に大学・学部ごとに入試方式がバラバラです。さらに同じ大学・学部でも多様な受験機会を与えてくれることも多いため、一発勝負になりにくいのが私立大学の特徴です。
8科目の国立大学か、3科目が基本の私立大学か。基本的に受験の選択はこの二択です。当然後者のほうが負担が軽く思えますがそう単純ではありません。国公立受験者にとって8科目をすべて確実に仕上げることはやはり難しく、共通テストの合計点の全国平均は約6割程度です(それでも合格者平均を見ると東京大学は約9割、その他旧帝国大学は約8割、金沢大学は約7割は要求されます)。二次試験はさらに差がつきやすい問題が多く、7割とれれば東大の理科三類(医学部)でも十分合格できます。場合によっては二次試験が5割程度で合格できる大学もあるため、それだけ多くの科目を勉強してきた負担が考慮されて倍率も低くなっています。
一方の私立大学は3科目受験であることと、受験しやすいことにより難関大学だと一般入試の倍率も6倍を超える高倍率になることも珍しくないため突破するには6割5分~8割程度(場合によっては9割越えも!)の正答率が要求されます(ミスが許されにくいです)。私立大学ゆえに学習指導要領を超えた難問奇問の出題も多く(塾の教師でも解けない問題があったりします)、私大入試に特化して臨まないと有名大学に合格することは難しいでしょう。
それでは「まずは国公立大学を受験し、もし不合格になった場合は同じ偏差値帯にある私立大学には受かるだろうからそこに進学すればいいや」といった考えは成り立つでしょうか。答えはNOです。私立大学受験者は3科目に特化して仕上げてきたスペシャリストたちです。特に関東圏や関西圏の私立大学は、大都市圏の国立大学の定員の少なさも相まって倍率が高く、高得点勝負になります。8科目やってきた生徒と3科目にしぼった生徒では一科目あたりにかけられる時間が全然ちがいます。したがってきちんと受験戦略を組み立てないと国公立大学受験者は失敗したときにその時の偏差値帯から1ランクも2ランクもダウンした私立大学群に落ち着くことになります。
たとえばネット上では全国的に知名度がありながら比較的入りやすいと思われることも多いGMARCHや関関同立といった私立大学群は、難関国立大学受験者でも不合格になるぐらいまぎれもない難関大学です(年々問題も難化しているため無責任なネット情報を鵜呑みにして軽視しないのが吉です)。そもそも国公立受験者が私立の一般入試の対策をする時間などせいぜい1か月あるかないかで、対策している余裕がないのです。さらにもしこれらの大学群に共通テスト利用方式で合格したいならば8科目で7割~8割程度は必要なため、滑り止めになりにくいのです。これが国公立大学を志望し、失敗して崖から落ちる最大のリスクだと私は思っています。学校の中には「国公立大学以外は希望進路としてみとめない」「浪人覚悟で私立大学は受験するな」といった過激な「国公立至上主義」のような考えを持って進路指導をするところもあるようですが、そういった考えは最初から行ける大学の進路の幅をせばめてしまいます。何よりもまず国公立・私立を問わずに幅広い選択肢の中から生徒自身に本当に行きたい魅力的な大学を見つけさせ、行ける中で一番優秀な大学を選べるように指導することが生徒の将来のためなのではないでしょうか。
“何か特化したものがなくてもいいから大きな穴(苦手)がない”「国公立大学」か、“他の科目は大の苦手でもいいから主要3科目だけは特化させる”「私立大学」かのどちらを目指すかによって受験戦略は大きく変わってきます(大学側もそれぞれそのような人材を求めているということなので国公立と私立でどちらが上とか下とかは考える必要は全くありません)。人によってタイプも違えば向き不向きもあります。あなたはどちらのタイプですか?
いずれにせよ文系・理系ともに大学入試において”英語”と”数学”が大きなウェイトを占めることは間違いありません。この2教科は伸ばすまでに最も時間がかかる科目であり、高1・高2の間に基礎を固めて大きな穴をつくらないことが重要です。英語と数学で基礎を固めておくことで高3の間に理科や社会をカバーする時間を十分にとることができるのです。そして片方は得意だけれども、片方は苦手意識があって途中で脱落してしまうのがこの2教科の特徴です。高3生はちょうどこの夏休み前の時期が国公立大に向けて8科目を勉強するべきか、3科目にしぼって勉強するべきかを決定する最後のタイミングです(入試に使わない科目をわざわざ貴重な高3の夏休みにやっている余裕はありません)。
バランス型の国公立大学を目指すならば中学レベルの5教科の内容に穴が開いていては到底戦えません。本気で国公立大学や難関私大を目指すのであれば「大学受験なんてまだ早い…」なんて言わずに、中学生も、高1・高2生も、部活や遊びや学校の宿題のみに時間を使うだけでなく、本格的な「受験勉強」にも取り組むべきだと思います🔥


🌸1学期授業の無料体験や学習相談をご希望の方はこちらのフォームをご入力ください(その後、こちらから日程等ご相談のご連絡を差し上げます)。

小松校 校舎ブログブログ新着
-
小松校
受験の現実①~国公立と私立の入試方式~
-
小松校
某漫画から学んだ大事なこと
-
小松校
真剣勝負⚔️